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解雇はしやすい方がいい

会社から突然解雇を宣告される。経験のある方ならよくご存じと思いますが、もうそれは言い表せないほどの苦痛です。昨日まで働いていた職場や同僚との突然の別れ。自分が掲げていた仕事の目標や将来のプランの連続性を突然断たれ、頭の中は真っ白。自分の存在を否定された気分で、できることといったら呆然と立ちすくむことだけです。

私は日本の外資系企業で働いていたときに、即日解雇を告知されたことが二回あり、上司や同僚の解雇も何度も見てきました。ある日朝普通に出社したら部門の閉鎖が決まっていて、他の同僚全員と共に突然の解雇宣告。部屋の隅には引越用の段ボールが積まれていて、すぐにこれに私物を入れて家に送るよう言われました。またある時は朝会社に行ったら、その日は家から客先に直行していた同僚の解雇を知らされ、何も知らずに帰って来たその同僚は、10分以内に荷物をまとめて出ていけと言われて唖然。いろいろと会社に不利な工作をする時間を与えないためです。さすがに10分以内は無理で、もうちょっと時間がかかりましたが、彼が出て行くと直ぐにオフィスに入るときに使うドアの暗証番号が変更されました。このような解雇はオーストラリアでもよくありますし、他の多くの国でも普通に行われていると思います。

日本では終身雇用の習慣が根強く解雇規制があるため、このようなバッサリスッキリの解雇より、社員を虐め回して自発的に辞めるように仕向ける陰湿なやり方で細々と解雇することが多いと思います。解雇がしやすい国としやすい国、どちらがいいかというのは難しい問題ですが、両方の国で働いた経験からいうと、個人、企業、国の利益を総合的に考えて、解雇がしやすい国、つまり人材が流動的な国の方が幸せな結果をもたらすのではないかと思っています。

終身雇用の欠点は、仕事をしてない人や、その時時点で必要ない人にも給料を払い続けなければならないこと。だからできる人に負担が集中してしまい、会社はもっと人を雇いたくても仕事をしていない人の給料を払っているおかげで本当に必要な人を雇うことができません。忙しい人はますます忙しくなり、休暇を取るのも難しく、馬車馬のように昼夜働きづめることになります。

オーストラリアでは、従業員が必要でなくなったらさっさと切るのはよくあること。業績があがらないというのはひとつの理由でしょう。でもある会社で力を発揮できなくても他の会社でぐんぐん実力を発揮することもあり得ます。人の生産性は環境で変わるものだから、一つの会社でダメだったらからといって人生終わりではないのです。またビジネス環境は常に動いており、三年前に必要だった人材が今日も必要だとは限りません。この場合、自分の実力が発揮できない職場で悶々としているよりも、自分を必要としてくれる環境にさっさと移って力を発揮した方が、会社のためにも本人のためにも遥かにいいのです。これができるのは労働市場が流動的なおかげです。

オーストラリアでは、従業員の退職や出産休暇で長期間の穴が空くときは、すぐに代わりの人を募集して配置します。就職市場には常にいろいろなタイプの仕事を求めている人がいるため、目的にかなった能力や条件の人材を確保することができます。例えば女性が一年の出産休暇に入る場合、期間限定で契約社員を雇いますが、このおかげで出産する女性は安心して休暇を取り、その後職場復帰することができるのです。就職市場にはいろいろな理由で短期契約で働きたい人はたくさんおり、雇用主と被雇用者両方のニーズを満たすことができます。この流動性的な雇用環境があるため、労働者は自分のライフスタイルやライフステージに合わせて正社員、契約社員、短期間、パート、自宅勤務など、働き方を自由に選ぶことができるのです。

私の同僚の女性は出産休暇から復帰し、週に四日だけ働いています。子育て中のプロフェッショナルの男性で、週に三日だけ働いている人に会ったこともあります。しばらく働いて、仕事を辞めて学校に戻って勉強してからまた働きだすというのもよくあります。会社を辞めて一年間世界一周旅行に行ってきて、また働き始めた同僚もいました。いやな上司や会社にへつらう必要もありません。いやだったらさっさと辞めて次を探せばいいだけです。このような柔軟な働き方ができるために、従業員は仕事によって人生やプライベートライフを犠牲にすることもなく、会社も必要な人を必要な時だけ雇うことができるのです。

ただしこれをやるには条件があります。まず仕事の役割の明確化。急な人材の穴あきで代わりの人を調達しても生産性が下がることがないのは、その仕事に必要な役割と能力が明確になっているからです。募集時には必要な詳細な能力条件(Job Description)を求め、その条件にぴったり合う人しか雇いません。それと能力の評価方法です。日本のように人材評価を年齢や性別、勤務時間や勤務年数で評価していたのでは、職場をどんどん移っていくシステムは成り立ちません。そしていつでも能力開発ができる環境。解雇されても大学や職業訓練校でスキルを身につけることができれば、また別の仕事をすることだってできるのです。

日本で雇用の流動化が叫ばれながらいまだに実現しないのは、既得権を持った人が能力がなくても自動的に給料がもらえる環境を手放したくなかったり、仕事を失うのを極端に恐れる人が多いのもあるのでしょう。確かに仕事を失うのは怖いことですが、それが次のステップへのチャンスになるかもしれません。私も今の仕事は元はといえば解雇をきっかけに転職したことから始まっています。転職しながらキャリアアップするのは日本の外では普通のこと。自由な労働市場があるおかげで自分に合った職場で能力を磨き、自分の人生を思い通りに生きることをことができるのです。


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こんにちは、

アメリカで働く同業者です。日本の中小企業からこちらの小企業に転職、家族ともども移住して今年で14年になります。日本にいたころは私も被雇用者を簡単に解雇できないしくみを良いものだと認識していましたが、こちらに移ってみて全く考え方が変わりました。たまに日本に行って、「自由意思による雇用制度」- Employment at will の良さを知人等に話しても理解してもらえないばかりか、よくそんな不安定な契約でやってるねと同情される始末です。

終身雇用制度は過去の物という記事をあちこちで見かけますが、実際のところはまだまだ社会のコアとして君臨しているんじゃないでしょうか。若者から見ると、何の能力もないおじさんたちがただ社歴が長いというだけで、自分の3倍も4倍も給料をもらっているのはまったく納得が行かないことでしょう。ですが、その同じ若者も、10年あるいは20年経ってみて自分がその恩恵を受けだすころになると、それほど際立った能力もないのにそこそこな給料を貰えるんだ、これもなかなかいいシステムじゃないか、自分は今まで安月給で働かされてきたんだから、そのくらいの恩恵を受けても当然だろう、ということになっているんじゃないでしょうか。

その恩恵が受けられなくなるのが非常に怖いので、多くの日本人会社員たちは、自分の会社がつぶれないように、それを守ろうとするわけです。つぶれるくらいなら給料が安くても我慢する。これが家族や個人よりも仕事や組織を大事にするという(今思うと)最悪の発想に直結します。

オーストラリアでのしがらみのない、自由な環境で、思う存分人生を楽しんでください。

tetsu

tetsuさん

大変興味深い考察ありがとうございます。もう終身雇用は終わったなどと言う人がいますがとんでもない、海外からみたら日本はまだまだ終身雇用を中心に社会が回っています。おっしゃるように、若いうちは安月給でこき使われても我慢できていたのは、年数が上がれば給料が増えて退職金ももらえるという期待があったから。その前提がなくなった今、事実上終身雇用システムは崩壊しているのに、まだまだそれにしがみついている年配者がたくさんいて、その年配者が事実上国や雇用主を牛耳っているので負のスパイラスはなくならないのですね。守りに入っても先はもう見えているので早く手を打った方がいいのですが、終身雇用大賛成の世代が交代しない限り変わらないみたいですね。だから若い世代は終身雇用システムから距離をおいたほうがかえって自分の守りに繋がると思います。

契約=不安定という思いこみは終身雇用から来ているのでしょうね。契約社員は何年かしたら正社員として雇用しなければならないという最近できたバカげた法律も、「正社員こそ正統な働き方」という昔の価値観が染みついた年寄りが考えたことなんでしょう。実際には女性とか子育て中の人とか、自由な働き方をしたい人はたくさんいるはずなのに、そういう人が労働市場から締め出されています。オーストラリアでも正社員にはならず、いろんな会社で契約社員をしながらキャリアを磨いているプロフェッショナルも少なくありません。働き方を自分で選べた方が幸せだし人材を有効活用できるという、発想の転換が必要だと思います。
プロフィール

divayoshiko

Author:divayoshiko
よりよい生活と仕事環境を求めて、日本の会社を辞めてオーストラリアに移住しました。IT技術者として生活を確立するまでの様子、日々の生活や仕事のこと、現地情報、オーストラリアや日本について感じることなどをつづっています。メルボルン在住。
Twitter @divayoshiko

これまでの歩み
2009年
4月  技術独立ビザで永住権取得
2010年
1月  東京からブリスベンに移住
2月  シドニーに移住
4月  ブリスベンに移住
5-6月 メルボルンに長期出張
2014年
2月  メルボルンに移住

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