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日本では英語ができると不利になる?

英語の社内公用語化を掲げた楽天が、二年の準備期間を経て7月から完全公用語化に移行しました。今では会議の八割は英語で行われているそうで、ここに至るまでの会社と社員の努力は相当なものだったと思います。これについては、「日本人同士でしゃべるのも英語なんてやりすぎでは?」という意見も多いようです。確かに一般的には、国際的な場では現地語がわからない人が一人でもいれば英語に切り替えるというのが暗黙のルールなので、日本人同士がわざわざ不慣れな第二言語で話さなくても、と思うのももっともです。

私が日本の外資系ソフトウェア会社で働いていた時、新製品や新しい技術情報などはすべて本社から英語で入ってきていました。これを日本で展開するには、この情報を日本の顧客やビジネスパートナーに理解してもらう必要があったのですが、必ず必要になるのは日本語への翻訳。技術資料、販促資料、ソフトウェアそのものなど、完璧に日本語化しないと顧客は目も向けてくれません。日本の顧客に英語のものを持っていくなんて「失礼」にあたるのです。それでも顧客が日本語でないとダメというならまだわかるんですが、最新の技術を取り入れて顧客に提供するのが仕事のパートナー会社でさえ、「日本語でない資料なんか読めない、翻訳してくれ。」というのです。私の英語などネイティブ環境では子供みたいなものなんですが、日本では英語ができる人と見られていたので、翻訳や通訳の仕事がたくさん回ってきました。

私は海外の同僚たちとも一緒に働いていましたが、海外ではもちろんそんな仕事はありません。第一海外では母国語が英語でなくても、大学教育を受けた人なら英語はできるのが当たり前ですから、英語の資料を渡しておけば後はよろしくやってくれるのです。顧客も高等教育を受けた人やマネージャーレベルなら英語は問題ないことが多いので、なにもかも翻訳しなくても受け入れてくれます。これは西洋諸国だけでなく、アジア諸国でも同じでした。

日本のエンジニアの英語への抵抗は並々ならぬものがありました。とにかく英語と聞いただけで拒否反応を示すのです。ソフトウェアの世界は最新技術は英語でやってきますが、これを仕入れるということは自分のキャリアのためには有益なこと。でも「英語は苦手だけど、有益な情報を入手し、同時に英語も勉強できるいい機会だ」と前向きに取り組む人に会うことは少なかったです。中国などでは英語だろうがなんだろうが、新技術を競って取り入れることに貪欲で、日本人の姿勢とはぜんぜん違うものでした。グローバル化の時代、日本のエンジニアは英語ができて新技術を取り入れることに貪欲な海外のエンジニアたちと間接的に戦っていることになるんですが、そういう意識はないように見えました。

そんな彼らのために翻訳や通訳をやっていましたが、私はエンジニアで翻訳の専門家ではないので、そんな仕事は私にとって一文の得にもなりません。私が余計な仕事にかまけている間に、日本や海外の同僚は自分の専門の仕事で経験を積んでいきます。一応外資なので表向きには英語はできて当然ということになっているんですが、実際にはできない人が基準になるので、「英語ができるんならみんなのために翻訳してくれるのが当然でしょ?」と、できる人にとばっちりが回って来るのです。でもよく考えてみたら、彼らが英語ができないのは私のせいじゃありません。私だって生まれつき英語ができたわけではなく、膨大な時間とお金をかけて苦労して習得したのです。

英語の勉強が必要なのは、一部の海外要員だけでいいという人がいますが、知識や情報はみんなで共有されるからこそ組織力を発揮できるのですから、組織全体を底上げしなければ結局は全体としてうまく回りません。さまざまなビジネスの場でグローバル視点が必要とされる今、一部の人だけがグローバルに通じていて、後の人はひたすらドメスティックというのでは意思疎通ができないばかりか、翻訳や通訳の余計なコストもかかります。確かに楽天のやり方は荒療法だと思います。でも逆にそこまで強制しないとどうしようもないぐらい、日本人の英語のレベルが低すぎるということじゃないでしょうか。移民も少なく海外経験も少なく、英語でやり合う経験が少ないシャイな日本人にはやむを得ない方法かもしれません。楽天の採用基準はTOEIC730点ということですが、そもそも730点ではネイティブとの仕事ではまったく使い物にならず、この基準が高いとはいえません。900点だって世界で通用するとは限りません。実際にグローバルの現場で仕事をするには、語学以外のコミュニケーション能力や実践力がものをいうので、テストで高得点を取っただけではだめなのです。

そんなこんなで翻訳が要らない国へ来てしまった私。理不尽な仕事など来ず、自分のやりたいことだけができる環境にいられるのは本当に幸せです。でもコミュニケーションの苦労が絶えず、言ってることが通じなくてガーン!そして再びトライの繰り返し。上達には実践と、そこから得る学びのみです。

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divayoshiko

Author:divayoshiko
よりよい生活と仕事環境を求めて、日本の会社を辞めてオーストラリアに移住しました。IT技術者として生活を確立するまでの様子、日々の生活や仕事のこと、現地情報、オーストラリアや日本について感じることなどをつづっています。メルボルン在住。
Twitter @divayoshiko

これまでの歩み
2009年
4月  技術独立ビザで永住権取得
2010年
1月  東京からブリスベンに移住
2月  シドニーに移住
4月  ブリスベンに移住
5-6月 メルボルンに長期出張
2014年
2月  メルボルンに移住

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