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大学をグローバル化するには

私の勤務する大学では毎年世界の大学ランキングに参加していて、今年もいくつかの主催団体へ提出するためのデータを揃えているところ。授業、研究や教授の質、国際性、多様性などいろいろな角度から評価されてランキングが決まります。世界の大学の中ではやはり高等教育では定評のあるアメリカの大学が圧倒的に高いランクを獲得しています。

日本の大学も東大、京大、阪大、東北大などは頑張っていますが、日本の大学で特徴的なのは、研究の質に比べて、国際性(留学生比、外国人教員比)が極端に劣ること。これさえ頑張れば一気に上位にランクされる大学が増えるはずです。グローバルでの競争力が落ちていることは日本の大学も危機感をもっているようです。海外からの留学生を増やし、国内の学生が留学しやすいように、東大では今の4月入学から9学入学への移行を計画していますが、これが高校卒業から大学入学までのギャップイヤーを生み出すということで論議を呼んでいます。

まず海外からの留学生を増やすという目的について。確かに世界では9月入学の国が多いようですが、なぜ9月入学への全面移行にそんなにこだわるんでしょうか?私はアメリカに留学するとき、3カ月ほど前に渡米して語学学校に行って入学準備をしていましたが、学校と学校の間にアルバイトや旅行など違った体験をするのはよくあることです。たとえば5月に海外の高校を卒業して4月に日本の大学に入学すると、確かに約一年の空期間があります。でもそんなのは海外の大学では当たり前のようにやっている、各学期での入学ができるようにすれば、2学期が始まる9月に入学できるので、大した問題ではありません。私が勤めている大学は1学期は2月から、2学期は7月から始まりますが、3学期制の学部もあり入学は通年やっていて、留学生比率は約3割です。1年に何度も入学できるようにすれば何の問題もないのに、なぜ1年に一回しかできない学年制にこだわるんでしょうか。いつ入学しようが卒業しようが、単位が取れれば卒業というのが大学のはずなんですが。

そんなことより、日本の大学に留学生にとってぜひ入学したいと思うような魅力があるかというほうがずっと重要です。まず授業が日本語ばかりではとうてい無理です。世界の共通言語は英語です。経済成長している国の言語ならわかりますが、これから衰退していく国でしか使われない言語をわざわざ習ってから来いなんて虫のいい話。オーストラリアもかつては日本語学習熱が高い国でしたが、今は中国語に移行しつつあります。東大のウェブサイトにある留学希望者向けの案内が日本語で書いてあるのには驚きました。日本語を勉強してから留学を検討しろってことなんでしょうか?それから授業の質。日本の外では大学はキャリアに必要な知識を身につけるために行くところです。日本の学生のように卒業証書がほしいから行くのではなく、専門知識を学びたいから行くのです。講義をきくだけの受け身型で実践を伴わない授業をし、予習も復習もたいしてやらなくても適当に授業に出ていれば単位が取れるぐらい内容が薄く、学生による教授の評価制度もなく、他大学と単位交換もできない硬直的なシステムの大学に、海外の学生がわざわざ行きたいと思うでしょうか。世の中にはアメリカやオーストラリアのように、高等教育を国の重要な輸出産業と位置づけ、多くの留学生を呼び込んでいる大学がたくさんあります。日本は言語が国際語でないという不利があるので、その分他の大学にはない魅力がなければ留学生は来にくいでしょう。ギャップイヤーがあろうがなかろうが、本当に魅力的な大学なら何としてでも行きたいと思うはずです。

次に日本の学生の海外留学を後押しするという目的ですが、ギャップイヤーがあるために留学後に学生が留年して就職に不利になるからというのが理由のようです。これは大学の問題というよりむしろ日本の企業の問題。海外では留学やバックパッカー、ワーキングホリデー、アルバイト、ボランティアなどいろいろな経験をしてから働き始めるのはよくあること。でも日本の会社はそんな余計な経験よりも、大学をきっちり4年で3月に卒業した標準年齢の型にはまった学生がほしいし、高度な専門能力を身に付けた院卒にはあまり興味がないのです。能力や経験よりも、年齢や路線からはずれていないことを重要視する日本企業に合わせることは学生のためになるでしょうか。そうはいっても国際的に魅力的な大学と日本企業が求める大学は違うので、日本の大学としては悩ましいところ。国際競争力を取るのか、それとも日本経済低迷の原因になっている、新卒一斉採用と年功序列制の会社に合わせた入学時期を取るのか。日本企業の時代遅れの人事制度が、企業だけでなく大学の国際競争力をも削いでいるといえます。

そしてこれまたびっくりするのは、この移行計画が5年後だということ。東大の先生方は世界がどんなスピードで動いているかご存知ないようです。5年後というのは、姿勢だけは見せているが本音ではヤル気はないんだな、と思われる年数です。5年経てば、いえ3年でも世界は変わります。そもそも時間感覚や緊急度の感覚さえ世界の感覚とズレていることが、海外の学生のニーズを把握できず、9月入学などという枝葉末節にこだわって本質的な議論を先送りしているズレ具合とよく似ていることに、妙に納得してしまうのです。

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Author:divayoshiko
よりよい生活と仕事環境を求めて、日本の会社を辞めてオーストラリアに移住しました。IT技術者として生活を確立するまでの様子、日々の生活や仕事のこと、現地情報、オーストラリアや日本について感じることなどをつづっています。メルボルン在住。
Twitter @divayoshiko

これまでの歩み
2009年
4月  技術独立ビザで永住権取得
2010年
1月  東京からブリスベンに移住
2月  シドニーに移住
4月  ブリスベンに移住
5-6月 メルボルンに長期出張
2014年
2月  メルボルンに移住

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