オーストラリアの年金制度は、政府が払ってくれる老齢年金と、雇用主や被雇用者が積み立てるSuper Annuation(スーパー)の二階建てになっています。通常雇用主は従業員の年収の9%をスーパーファンドに積み立てる義務があり、政府系はもっと率が高くなります。つまり私たちは何も払わなくても老齢年金(条件あり)とスーパーの両方から年金がもらえるというわけ。そして希望すれば自己負担でスーパーに追加積立てすることもできます。税金面で優遇されているし、自己積立分は税引き前の給与天引きにできるので節税効果もあります。
多くのスーパーファンド運用会社が、たくさんの種類のファンドを運用しています。雇用主が提携しているファンド会社に加入してもいいし、前から加入していたファンドをそのまま継続してもかまいません。その場合は、会社が前のファンドに積み立ててくれます。転職を繰り返すのは一般的ですが、転職のたびに新しいファンドに入る必要はありません。複数のファンドに加入していてもいいのですが、一本化すれば重複する手数料を節約できます。私は先日転職したとき、今の雇用主のファンドに入るか今までのファンドを継続するかという選択肢があったのですが、結局両方に積み立ててもらうことにしました。もうすこし様子を見てからいずれは一本に絞ろうと思います。
スーパーファンドは、通常の預金のようなローリスクの商品からローリスクローリターンの投資商品、ハイリスクハイリターンの投資商品までさまざまで、自分の運用方針に沿って選ぶことができます。運用成績がよくて高いリターンが得られるか、損してしまうかは自分次第。あくまでも自己責任というわけ。でも運用会社からは定期的に運用成績の報告が来るし、ウェブサイトでも確認することができます。もちろん途中で商品を変えたり自己積立分を増減するのもOK。将来の運用成績は見えない部分もあるとはいえ、自分で自分のお金をコントロールできるのは安心です。
私が日本を脱出した理由の一つは払った分が返ってこないとわかっている年金を払い続けたくなかったからですが、日本の年金が破たんすることはもう見えているのに、会社員である以上強制的に給与天引きされ、運用は闇の中。今の残高はいくらなのか、将来いくらもらえるのかは知る由もなく、将来の生活設計すらできない。しかもやめたいと思ってもやめる手段がない。自分のお金を搾取されてそのゆくえがどうなってしまうかわからないなんて理不尽すぎます。
自分の将来をお上に託す時代は終わりました。下の世代が上の世代の面倒を見る今の年金のしくみは今の日本ではもう成り立たず、不透明な運営方法はこれからの世代には受け入れられないでしょう。高齢化が急速に進む中で、今の制度は抜本的な見直しが必要というのはずいぶん前からわかっていることなのに、政府の対応は遅々として進みません。時代に合った年金制度ができるのは私がこの世からいなくなった後でしょうか。
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