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初めてのレファリー

欧米の企業に就職するとき、レファレンス(reference、身元照会先)を求められることがよくあります。これはその人物が申告している内容が正しいかどうか、過去の職場でどんな評価だったかを過去の同僚や上司などに問い合わせて確認するという、採用プロセスの一環です。求職者は応募する会社に、レファリー(referee、身元保証人)の名前、会社名、連絡先や仕事での関係などを伝え、会社が直接レファリーに電話して確認します。

先日のブログ 突然の解雇 に登場した、シドニーの元同僚のレファリーを引受けました。採用プロセスの最後の段階で、就職エージェントと企業から電話がかかってきました。彼女の上司になるはずの人からの電話は留守電に入っていました。「A社のBというものですが、Cさんのレフェレンスの件でお電話しました。折り返しお電話いただけますか」はあ?私と何の関係もないアンタの会社の採用活動のためにシドニーまで電話しろって?日本の思考回路だと、不在だからといって依頼先や顧客に電話をかけさせるなんて申し訳ない、と考えてしまいます。でもこの国では、相手が仕事中のときは逆に相手からかけてもらった方が相手の都合のいい時に話ができるので、相手を尊重していることになる、というふうに合理的に考えることが多いので、まあしょうがないな~と電話を入れました。すると本人が出たんですが、「すみません、ちょっと今忙しいんで5分後にかけてもらえますか?」だと!コンニャロー、知ってると思うけど、こっちだって仕事中なんですけどねっ。この対応方法は普通の取引先やクライアントとの電話対応と全く同じ。つまりレファレンスは単なるビジネスの一環なんですね。私だってあなただってレファレンスを取ることも取られることもあるからお互い様。この会社は超有名企業で、そこらのアヤシイ会社なんかじゃないので、きっと特に礼儀を欠いているということもないんでしょう。この対応から、レファレンスがいかにこの国で普通のことになっているかを垣間見たのでした。

質問内容は、本人と知り合ってどのくらいになるか、いつ入社したのか、どのような状況で一緒に仕事をしていたのか、その時の本人の役割は、あなたの役割は、○○の能力はどの程度か、チームメンバーとしての仕事ぶりは、周りとうまくやっていたか、短所は、クライアントからの評価は、社内での評価はなど、細かい質問がたくさん出ました。求職者のキャリアの自己申告内容は正しいか、仕事のスキルはどの程度か、レイオフされたけど何か問題はあったのか、などを探っているようでした。

このレファレンスという習慣は日本ではあまりなじみがありません。単一民族の日本では、相手が日本人ならそれだけで簡単に信用するし、採用プロセスで確認するスキル要件があまり厳しくないので、その必要がないのでしょう。日本人の感覚だと、そんなの仲良しの同僚に頼んでいいことばかり言ってもらえばいいじゃん、と思ってしまいます。確かに折が合わない人には最初からレファレンスを頼むことはないでしょう。でも無責任になんでもいいことを言っておこうという風にはならないと思うのです。なぜなら質問がとても具体的で細かいので、ごまかしようがないのです。(これは面接での質問も同じ)それから自分の会社名、役職名、本名が相手に渡っている以上、自分の言動に責任が求められるので、うかつなことは言えません。話した内容に間違いがあれば自分の評判を落とすことになります。人はどこでつながっているかわかりません。ソーシャルメディアを使えば自分の経歴は誰でも確認することができます。誰がどこで見ているかわからないのです。

日本ではあうんの呼吸でコミュニケーションがとれてしまうためか、自分の言葉がいろいろな人にどのように伝わるかをあまり考えずに発言してしまいがちで、それが周りからの自分の評価にもつながるなんて普段はあまり意識しないと思います。特にネットの匿名での発言はひどいものです。この国にいると、自分の発言内容に責任を持つことを強く求められている気がします。周りは世界中からやってきた移民だらけ。見た目や肌の色、出身国、性別、年齢だけでは人物の評価はできません。共通のバックグラウンドをもたない者同士なので、その人がどんな発言をするか、どんな風にふるまうか、どんな行動をするか、これでその人の評価が決まってしまいます。仕事の世界だと転職が当たり前なので、その職場にいる短期間のうちに周囲に与えた印象がその人の評価のすべてになります。特にプロフェッショナルの世界では、自分の名前を看板に書いて歩いているようなものです。ここが会社を中心にキャリアを築く日本と、個人を中心にキャリアを築く国の大きな違いでしょう。

さて、この元同僚は、私が電話を受けた数時間後にオファーをもらって喜んでいました。失業から一カ月で決めたんだからたいしたものです。彼女にとってはこの上ないクリスマスプレゼントになりました


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テーマ : オーストラリア
ジャンル : 海外情報

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はじめまして。ワタシもオーストラリアに住む日本人の一人として、今回の記事に興味をもちましたのでコメントしました。
レファンレンスですが、多文化、移民の多い社会では必要だと私も思います。私も実際にレフリーになったこともありますし、レフリーをお願いしたこともたくさんあります。国や民族などの共通のバックグラウンドがないので、本人のレジュメや面接時の印象や受け答えだけでは採用の判断がつかないことも多いのも事実です(悪く言えば、どこまでが本当かわかりませんし)。しかし、レフリーが「間違いない!太鼓判を押します。」みたいな反応で早速採用しても、実はちっとも使い物にならないことがあるのもよくあることです。どのあたりを信用し、採用するかは、レフリーの要らない日本とオーストラリアでもさほど変わりがないのではないか、と思います。
それにレフリーが太鼓判を押したのに、実は時間にルーズでだったとして、レフリーが関わるのは採用時点であって、実際の採用後についてはレフリーは責められる立場にはないですし、責めたところで全く意味はないですし。

コチラのブログでは、日本はダメで、オーストラリアがいかにいいかということが全般的にどこの記事にも書かれていますが、全般的におしなべて平均してみたら、どちらにも善し悪しはあるし、それらは一長一短で、結局のところ、そんなに変わらないんじゃないか、というのが私の感想です。で、どっちが好きか、という点で日本かオーストラリアを選んで暮らしているのでは、という感じです。

追加ですが、こちらが電話をかけたのに自分の都合が悪いからかけ直せ、という対応は、オーストラリアでも一般的ではないと思いますよ。ワタシはそんなことに遭ったことはないですし、たいてい、先方から都合のいい時間を聞いてきますよ。元々は自分の仕事に端を発していることですから。

CBAさん

コメントありがとうございました。確かに素性も知らない人に太鼓判を押されてもどこまで信じていいかわからないですよね。レファレンスはないよりマシ程度のものかもしれません。でもいいレファレンスのために仕事を頑張るというインセンティブになっているのも事実ですね。

CBAさんはかけ直せという対応はあまり経験したことがないのですね。私の周りではよくあるのでこれが取引先だったら驚かないのですが、やはりなんの取引関係もない人にそう言われるとやっぱりえーっですよね。しょせん私の経験は日本でもオーストラリアでも自分のまわりの狭い世界のことだけなので、いろんな人の体験を聞くのはおもしろいです。

私も世界のどこに住んでもいいところもあれば悪いところもあり、それは人によって違っていて、結局自分が好きなところが多い国や土地に落ち着くのだと思います。私はオーストラリアのいいところも大変なところも両方書いていますが、いまのところオーストラリアに住んでとても幸せなので、いいことを書くことのほうが多いです。でも長くいれば不都合なところもたくさん見えてくるかもしれませんね。自分の住んでいる所よりも他の国や土地の魅力が多くなった場合は引っ越しの時期なのでしょう。
プロフィール

divayoshiko

Author:divayoshiko
よりよい生活と仕事環境を求めて、日本の会社を辞めてオーストラリアに移住しました。IT技術者として生活を確立するまでの様子、日々の生活や仕事のこと、現地情報、オーストラリアや日本について感じることなどをつづっています。メルボルン在住。
Twitter @divayoshiko

これまでの歩み
2009年
4月  技術独立ビザで永住権取得
2010年
1月  東京からブリスベンに移住
2月  シドニーに移住
4月  ブリスベンに移住
5-6月 メルボルンに長期出張
2014年
2月  メルボルンに移住

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