スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

いよいよ炭素税導入?

オーストラリア政府はこれまでずっと議論が続いていた炭素税導入について、ついに詳細計画を発表しました。来年7月から二酸化炭素排出量の多い500社に炭素税を課し、2015年からは排出量取引制度に移行するというもの。2050年までに温暖化ガス排出量を2000年比で80%削減するという強気の目標を掲げています。

オーストラリアの二酸化炭素排出量は世界全体の1.5%でそれほど多くはありません。でも天然資源の輸出が国の大きな収入源になっているこの国では、国内のエネルギーは石炭や天然ガスといった化石燃料に頼っています。原子力発電はなく、クリーンエネルギーへの移行が叫ばれていました。クリーンエネルギーや排出量取引制度への移行はグローバルな動きで、この国もいつまでも古いやり方に頼ってばかりはいられません。地球温暖化への対応の方向性を打ち出したことに関しては歓迎したいと思います。

でも改革には痛みを伴います。当然負担が大きくなる鉱山会社や鉄鋼業などは大反対。産業界でかさむコストは消費者に転嫁されるため、国民からの反対の声もまだまだ強いです。年々物価が上がっているオーストラリアでは、生産者やサービス業者に課せられた税金が生活費の上昇になってはね返って来る心配があります。

そんな不安に対処するため、今回打ち出されたのは対象業界への潤沢な手当て。そして国民に対しては高額所得者に実質上の負担を負わせ、大多数の所帯には減税と補助金で補填し、少額所得者や年金生活者は収支がプラスにさえなるという優遇策も同時に行うことによって非難をかわした格好です。とはいえ年々業界からの価格転嫁が大きくなるのではないかという懸念もあり、一般国民にもまだあまり好意的には受け止められていないようです。これからますます業界や野党との攻防が激しくなってくると思われ、実際に導入できるのかどうか目が離せません。ソーラー・風力発電といった再生可能エネルギーがこれからどこまで進化するのかも見ものです。

この税金導入の詳細計画は、日曜の昼間に首相の記者会見で発表されました。財務相と気候変動相も交えた説明と質疑応答で計一時間。その記者会見の動画と解説は瞬く間には多くのウェブニュースやテレビ番組で報道されました。情報収集はインターネットとテレビでほとんどが事足りてしまうので、私は紙の新聞を読むのはたまにカフェに置いてあるのを読むぐらいです。

驚いたのは、政府が用意した補助金に関する40ページにわたるPDF文書がニュースメディアからダウンロードできるようになっていること。まだやると決まったわけじゃないのに。ここには記者会見で説明された基本方針のほか、家族構成の違い、学生、年金生活者、労働者などの身分の違い、所得の違いによって、政府からの補助金額と炭素税導入による生活費への影響とが一覧表になって載っています。細分化された所得によって補助金が変わって来るので、すべての国民に対応するとこんなに長い文書になってしまうのです。また、Clean Energy Futureというキャンペーン用のウェブサイトも立ち上げ、エネルギー問題の背景、国の施策の基本的な考え方、各国の取り組みなどをわかりやすく説明して国民の理解を求めています。政府はこれからもこの施策に関してかなりの広告宣伝費を投じる予定です。

政府がやろうとしていることをちゃんと国民に説明し、それをマスコミが国民にわかるように伝えるからこそ、それに対する議論が生まれ、世論が作られて国の施策が決まっていくんですね。これって民主主義の国ではあたりまえのことなんですが、民主主義とは名ばかりで国民がほったらかしにされている国から来た私は、こんなことにもいちいち感動してしまいます。日本ではなんだかよくわからないうちに国民不在のままあれよあれよという間に物事が進んでいき、気がついたら決まっていたというのが普通ですから。政府が国民への説明責任を果たし、国民もそれに意見して、両者が協力して国の施策を作っていくからこそ、両者の間に信頼関係が生まれるんですね。


関連記事
スポンサーサイト

テーマ : オーストラリア
ジャンル : 海外情報

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

特異な日本の政治・・

>政府がやろうとしていることをちゃんと国民に説明し、それをマスコミが国民にわかるように伝えるからこそ、それに対する議論が生まれ、世論が作られて国の施策が決まっていくんですね。
・・ってところ、全く持って同感です。オーストラリアを含む欧米の政治家は、法律の専門家だったり経済の専門家だったりで、ちゃんと自分の頭を使って政策が練られるようですが、日本の政治家は政治の専門家であって、政策を官僚まかせにしているからこうなる。戦後アメリカの指導を受けて、政治とか立法とかのしくみができたのに、なんでこうなっちゃんたんだろ?変だと思っている国民がゴマンといると思うのに、この政治を変える仕組みがない。どこかの企業みたいに、一度外人リーダーに乗っ取られた方が色々変わるのかもね。

EveJohnnyママさん

それ名案ですね!企業だけなくていっそ国のリーダーも外人にする。今の首相が辞めたってどうせ日本にまともなリーダーはいないんだから、ずっと同じことの繰り返しですもの。
プロフィール

divayoshiko

Author:divayoshiko
よりよい生活と仕事環境を求めて、日本の会社を辞めてオーストラリアに移住しました。IT技術者として生活を確立するまでの様子、日々の生活や仕事のこと、現地情報、オーストラリアや日本について感じることなどをつづっています。メルボルン在住。
Twitter @divayoshiko

これまでの歩み
2009年
4月  技術独立ビザで永住権取得
2010年
1月  東京からブリスベンに移住
2月  シドニーに移住
4月  ブリスベンに移住
5-6月 メルボルンに長期出張
2014年
2月  メルボルンに移住

最新記事
最近のコメント
伝言板
カテゴリ検索
日付順検索
プルダウン 降順 昇順 年別

09月 | 2017年10月 | 11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -


キーワード検索
トリップアドバイザー掲載 タスマニア記事
タスマニアの旅行情報
トリップアドバイザー掲載 ニュージーランド記事
クイーンズタウン
個人的なコメントや質問はこちらからどうぞ

名前:
メール:
件名:
本文:

関連ブログ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。