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TOEIC信仰の不思議

私が日本で働いていた大手外資系の会社ではTOEIC650点を持っていることが必要で、このスコアがないと昇進できず、海外出張にも行けませんでした。元いた会社が買収されてこの会社に吸収される前は、仕事で日常的に英語を使い、海外出張も年に数回行っていました。TOEICは10年ほど前にこの基準ををはるかに超えるスコアを出していましたがスコアを証明するものはなく、それ以来受験したことがありませんでした。なぜならTOEICのスコアが必要になる機会はそれまでなかったからです。転職のときに英語力をテストする場合は、英語で面接すれば一発でわかります。英語を当たり前に使っている職場ではTOEICの点数など必要ないのです。私にとってTOEICを受験することはキャリア上何の意味もありませんでした。

この会社に入社後、人事部からTOEICを受験するようしつこく催促が来ました。しかも受験料は、業務経費のはずなのに会社が負担するわけではなく自分持ちです。私はアメリカで主流のTOEFLとヨーロッパ(含オーストラリア)で主流のIELTSのスコアを持っていましたから、それで代用できないか聞いてみましたがダメでした。アメリカの大学院の卒業証明書や成績証明書もダメ、オーストラリアにいる上司に英語で仕事が遂行できる由の証明レターを書いてもらうのもダメ、とにかくTOEIC一点張りなのです。そこで人事部に聞いてみました。

「なぜTOEICでないとダメなんですか」
「TOEICが社内で英語力を計る指標になっており、指標が複数存在すると判断に困るからです」
でも実際TOEICは日本と韓国ぐらいでしか使われていない国際的にはマイナーな試験で、世界で英語能力をみる試験はTOEFL やIELTSが一般的です。海外の社員でTOEICを知っている人は誰もいず、聞いてみても「何それ?」と言われます。つまりこれは日本だけのルールなのです。アメリカの会社なのにアメリカの基準はダメで、誰も知らない日本の基準にこだわるなんておもしろいですね~。

「これは社用で受験するので業務経費ではないのですか」
「わが社はグローバル企業であり、海外と共に仕事をするのが前提ですから英語ができるのは当たり前のことです。したがって社員が英語の勉強をする費用は会社が負担するべきものではありません。」
ははーん、つまりこの会社では「TOEICを受験する=英語の勉強をする」と理解されてるわけですね。考えてみるとこの会社だけでなく、日本では「英語力を高める=TOEICのスコアを上げる」という風潮があります。

「なぜTOEICのスコアがないと海外出張に行けないのですか」
「以前社員を海外出張に行かせたら英語が使えなくて仕事にならなかったことが多かったので、英語ができない社員は海外出張には行かせられません」
「じゃあ上司が、部下が英語で仕事ができるかどうか判断してから行かせればいいのではないのですか」
「わが社の中間管理職は英語が苦手な人が多く、部下が英語で仕事ができるかどうか判断できるとは限らないのです」
な~るほど、この「英語ができて当たり前のグローバル企業」では、部下が海外出張で使い物になるかどうかも判断できないような管理職に払う給料はあるけど、実際に英語で仕事をしている社員に払う給料はないってわけですネ。実際この会社では、日本では一般社員が海外の社員と仕事をしたり海外出張に行く機会はほとんどなく、英語でのコミュニケーションも一般的ではありませんでした。元の会社にいた外国人社員たちはどんどんやめていきました。私も日本を脱出してオーストラリアに逃げて来ました。人事部もさすがにここまでは追ってこないでしょう。

TOEICは日本の旧通産省と経団連が主導で作った試験です。問題自体は簡単でむしろスピードが重視されますから、試験対策を十分にして試験慣れすることが大切です。テストされるのは読・聞のみ(オプションで話・書あり)で、まさにスピーキングやライティングが苦手な日本人による日本人のための試験。一方TOEFL やIELTSはTOEICよりずっと難しく、読・聞・話・書が総合的に評価されます。実際英語で海外の人とビジネスをするには話・書が必須。また国際社会で一般的なコミュニケーションの方法、異文化や異国のビジネス慣習の理解、世界の中の一つの国としての自国を理解すること、そして会話やメールやディスカッションを駆使して発信する能力など、語学力のほかにもさまざなな実地能力が必要です。TOEICのスコアが高くても英語で仕事ができるとは限らないのです。日本では、日本でしか通用しないガラパゴス試験を使って一生懸命ガラパゴス英語を勉強しているというわけです。

多くの日本企業が社員の英語力を測るのにTOEICを使っていますが、本気で国際コミュニケーション能力をつけたいのであればTOEICに頼るのは得策ではありません。新卒の足切りなど、ある程度の能力をバッサリと計るのには便利なツールなのでしょうが、経験者の職務能力をスコアで評価しても正しい判断になりません。TOEIC以外にも社員の実践的な英語能力を高め、英語でのビジネス能力を評価する方法はいろいろあります。

個人にとっても、本当に実社会で通用する英語を身に付けたかったらTOEICを指標にするのは考え直した方がいいと思います。また企業を見るとき、あまりにもTOEIC偏重の企業は実際にはビジネスで英語を使うことはあまり一般的でなく、国際ビジネスへの理解も乏しいと見たほうがいいでしょう。


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テーマ : オーストラリア
ジャンル : 海外情報

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英語だけではなく、様々なビジネススキルを有する人を使いこなせないのが、日本企業が今苦しんでいる原因だと思います。
人事部と言うのは、会社の将来を左右する人材を集める部署。そういう大切な部門を預かる人間として考えると、前の会社の人事部長はクビですね。

Nuggetさん

ハハ、でも人事部長だけでなく、自分たちだけの価値観にしばられずに広い視野をもったり、自分たちとは違ったものを受け入れる柔軟性など、会社全体の価値観が変わらない限りなにも変わらないでしょうね。

はじめまして

はじめまして、突然のコメント失礼します。

現在就職活動をしている大学生(男)です。ネットで偶然にブログを拝見させていただきコメントさせていただきました。

就職活動ので色々な企業をみていく中、あまりに日本の企業が、社会が、就職活動自体が海外の常識から様々な面でズレているのを日々(昔から思っていましたが・・)実感し、海外で仕事を探そうと考えています。
TOEICなんてよくまだ採用しているなと本当に同感します。。。

これからまた勝手にブログ拝見させていただきます、そしてまたコメントさせていただくかもしれませんがよろしくおねがいします!

keyG

keyGさん

コメントありがとうございました。本当に日本はズレズレズレまくりですよー。大学生のときに気づいたあなたはラッキーです。日本にこだわらずどこででも生きていける人になりましょう。ご活躍をお祈りしています!


全くです

同感です。
国際人 = 英語ができる。という価値観から抜けない限りダメでしょうね。
日本にはいっぱいいいモノがあるので国外で戦えるものがいっぱいあるはずなのに、残念です。
英語よりもビジネスセンスだったり、本質を見極める能力を評価すべきだと思いますが、評価することが下手な日本人にはもう少し時間と荒療法が必要なのかもしれませんね。

yuiさん

おっしゃる通りで、日本には世界に誇れるいいものがたくさんあるんです。なのにそれを活かす術を知らないためにすごく損してます。荒療法ねぇ。楽天やユニクロがやってる英語を社内共通語にすることも荒療法の一つなのかな。海外に関係ない社員にも英語を強制する必要はないとか、かえって効率が悪くなるとか反対意見も多いですが、逆にいうとそこまでしないと日本人は危機感がないってことだと思います。先を読む目がある経営者はそこまで追い詰められているってことですね。


TOEICよりも

TOEICよりも、最近頭にきているのが、米国公認会計士のライセンス。ほとんどの諸外国で使用できるのに、日本では出来ない。逆に日本の会計士ライセンスが世界に通用するの?絶対ムリムリ。未だ鎖国状態の日本よ、早く米国公認会計士のライセンスを認めてくれ~

米国公認会計士ライセンス保持者さん

私も昔USCPAを勉強していましたが、日本の会計基準とのあまりの違いにびっくりした覚えがあります。会計もITもビジネスも、日本は何でもかんでも鎖国中ですね。日本でUSCPAが使用できないと言うことですが、アメリカで上場している企業だったら使っているのではないのでしょうか?日本でしかビジネスをしていない企業は日本の会計基準で報告する義務があるのではないのですか。
プロフィール

divayoshiko

Author:divayoshiko
よりよい生活と仕事環境を求めて、日本の会社を辞めてオーストラリアに移住しました。IT技術者として生活を確立するまでの様子、日々の生活や仕事のこと、現地情報、オーストラリアや日本について感じることなどをつづっています。メルボルン在住。
Twitter @divayoshiko

これまでの歩み
2009年
4月  技術独立ビザで永住権取得
2010年
1月  東京からブリスベンに移住
2月  シドニーに移住
4月  ブリスベンに移住
5-6月 メルボルンに長期出張
2014年
2月  メルボルンに移住

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