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現代の神風特攻隊

オーストラリアの主要都市で、毎日夕方になると街の至る所で配られている日刊フリーペーパー、MX。会社からの帰宅時に交通機関の中で読んでいる人が多く、発行数はかなりに登ると思われます。そのMXの昨日の一面のタイトルは”Hidden Hero”。福島第一原子力発電所に残っている180人(現在では300人)の従業員が原子炉の冷却のために海水のくみ上げ作業をしている作業員を、自己を犠牲にして国を救おうとしている「現代のサムライ」として描いています。作業場所は通常でも全面マスクとジャンプスーツの全身完全防備でないと入れない危険な場所。彼らはそんな所で、放射線漏れのため非常に高い濃度の放射線の中へ入って作業をしているのです。この記事の中に出てくる日本の原子力学者は、これは自殺行為で、第二次大戦中の特攻隊と同じだと言っています。また今日のMXでは、連日原子炉内で作業中の夫が、放射線レベルが上がった時に妻に送ってきたさよならメールの話や、夫が招集がかかって原子炉に出かけてから泣き崩れた妻の話が紹介されていました。

この話題はこのフリーペーパーだけでなく、オーストラリアやアメリカの各メディアでも「ラストサムライ」などとしてすでに取り上げられています。日常生活での被曝量は「年間」3ミリシーベルトですが、放射能が漏れているこの原子炉では「一時間」に400ミリシーベルトも被曝してしまいます。これは重い病気になる可能性や、最悪死を意味します。それに加えて水素爆発に巻き込まれる危険性もあります。すでに5名の作業員が亡くなり、22名が病気やけがをしています。政府は、厚生労働省に作業中の法定放射線許容量を急遽通常の2.5倍に変更させて、この作業員たちを仕事に従事させました。許容量を軽く超えてしまうほどの放射線量だからです。でも彼らは高度に訓練された技術者なので、危険は重々承知で飛び込んでいくヒーローなのです。彼らの職業の強い使命感に加えて、日本の労働者は会社の命令に忠実で、終身雇用制がなくなりつつある現在でも会社への忠誠心は残っていると説明しています。

でも・・・ヒーローっていうのはみんなが知っていてみんなにたたえられている人のことですよね。彼らは日本の外では有名でも日本では報道されていません。これをヒーローっていうんでしょうか?東京電力はこの作業員たちの詳細を明らかにしていないし、ほとんどの作業員は社員でなく、立場の弱い協力会社社員なのです。彼らに頭が下がるとともに、送りだす家族はもちろん、彼らがどんな思いで作業しているのかと思うと胸が張り裂けそうになります。政府や東電のリスク管理の甘さや意思決定の遅さが指摘されていますが、個人にこのようなリスクを強いる事態は本当に防ぎようがなかったのでしょうか。

オーストラリアを含む各国のメディアと日本のメディアを見ていて驚くことは、日本のメディアはあくまでも「前向き」で、国民が動揺しそうな情報は徹底的に公開していないことです。ヒーローの話などはそれほど重大ではないですが、この緊急事態に重要な情報さえ書かないし、原子力の専門的な話をわかりやすく説明しないので、煙にまかれているような気がします。先の日本人原子力学者も日本のメディアには出て来ません。国民に与える情報を徹底的にコントロールする政府、東電、マスコミのあざやかな連携プレーは見事というしかありません。

ここ数日は事態が悪化し、国際社会でも緊張感が一気に高まってきて、アメリカへの放射線の影響も心配されており、もはや日本だけの問題ではなくなりました。オーストラリア政府も発電所から半径80キロ以内にいる在日豪人に避難勧告を出しました(日本政府の勧告は半径20キロ)。危機意識が薄く、情報開示をなかなかせず、あいまいな説明を繰り返す日本政府や東電へのいらだちも露わになってきてました。

先日のオーストラリアの大洪水では、政府はありとあらゆる情報を国民に公開しました。現在起こっていることに加え、これから考えられるリスク、最悪の場合どうなるかなど。いろいろな状況を想定するからこそ、国民一人一人が最適な判断ができるのです。もし政府が情報を公開しなかったらきっと暴動が起こるでしょう。またマスコミも政府を監視し、必要なときには糾弾します。

パニックが起きないように情報を制限したいのもわかりますが、判断材料を与えず、国民を政府のいうなりに行動させようとする考えはとても危険です。日本人は非常時にもパニックにならずに冷静に行動すると海外から評価が高いぐらいです。情報を与えない方がパニックになると思うんですが。ただしちょっと心配なのは、日本人は判断材料を集めて自分自身で判断することに慣れておらず、他人に流される傾向が強いことです。周りが何かを始めるととたんに判断能力を失い、暴走する可能性があります。という意味では日本政府の心配もわかる気がしないでもありません。

特攻隊は何が起こっているのかも知らされず、判断材料も与えられず、ただ命令に従うだけでした。もうそろそろ特攻隊は卒業しなくてはなりません。

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テーマ : オーストラリア
ジャンル : 海外情報

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本当のところはわかりませんが、前向きなのは、被災者の人たちを励ますためでは?
でも私にはそんなに前向きには思えないけど。アナウンサーに、「もうちょっと安心させるような顔をしなさい」ってテレビに突っ込んでます。

Nuggetさん

前向きに、過剰な自粛をせず、パニックせず、明るくすごすことは必要ですね。情報公開とは違う次元の話ですが。

 作業員の死亡や病気について初めて知りました。日本のメディアは、アメリカで作業員がヒーローと報道されている、という報道の報道。ほとんど間抜けです。
 事故は防ぎようがなかったのではありません。海水を入れると炉がダメになるというので、東電が猛反発したために処置が遅れ、このようなことになりました。多くの人の安全や日本の国土よりも、炉のほうが大切だというわけです。
 東電や政府は情報をまともに公開していないのは確かですが、メディアでは学者も出て、心配する必要はないという説明をしている。何を信用すべきか正直わかりません。
 日本ではいつも「のどもと過ぎれば」の傾向があるけれど、今回のことはそれで済まされるわけにはいかない。半減するのに24000年もかかる有害な放射性物質がまきちらされるのですから。みんなしっかり目を開けて欲しいです。

とりこさん

東電の対応も悪いですが、私企業なので自社の利益を考えるのも当然です。でもこれは国全体に影響をおよぼす事故なので、もはや一企業の問題ではありません。もっと早い段階から政府がリーダーシップを発揮するべきでした。安全性についてはいろんな意見があって当然だと思いますが、最終的に対応を決めるのは国民ですから、偏った報道は避けてほしいですね。

東京電力は過去にも隠ぺいした前科があるので信用できないし、政府もまったく機能していない印象です。まだ自民党政権下で官僚に任せていた方が幾分マシかと思うくらい頼りない政府だと思います。情報操作するにせよ、しないにせよ、何か強く正しいと思う政策があって、その目標に向かって戦略的に活動しているのならまだ良いが、行き当りばったりの無策ぶりが露呈している印象です。

ところで箱根山や富士山の群発地震が活性化しているという話もあります。神奈川西部の海の近くに住んでいるので、この件もとても気になっています。
平凡な日常からいきなり、地震、津波、放射能(土壌汚染による農作物汚染、水源汚染等の飲食物汚染、自身の汚染、)、火山、停電、それら震災に伴う生活物資の不足と、戦争&テロ以外全ての災害リスクが一気に押し寄せている現実がある中で、職を失う失業リスクを回避する為に本当に震災で死ぬ可能性があるという事を現実として受けとめられないまま、本数も、人も減った電車で日々通勤しています。

映画並みの非日常があまりに続き過ぎて、皆感覚が鈍ってきたので震度3ぐらいだと話題にもならず黙々と仕事し続けるようになってきました。もはや電車も数分しか止まりません。
明日は自宅のある神奈川県から約200キロ離れた栃木県に仕事で行きます。本数が大幅に減った東北新幹線に乗りますが、万一の場合は被爆リスクが東京より格段に上がる場所で帰宅難民になる可能性もあります。震度5強の可能性20%、放射能リスクは情報不足により未知数。
こんな状況ですが私の会社はリスクとして認めてくれずキャンセルできません。

日々失業リスクと震災リスクを天秤にかけながら、現実が現実として感じられない、とても希薄な状態で生活しています。
椅子取りゲームの音楽が止まった時、椅子の側に居られれば良いのですが、座れなかった時は・・・と思うと、今すぐオーストラリアの永住権を持てる能力がない自分がとっても残念でなりません(TT)

目下、日常生活をするにあたって、放射能関連(放射能濃度、雨、風向き)、停電予定、地震、電車の運行状況、生活必需品の供給状況、会社の方針を常にチェックする必要があるので、毎日とても疲れます。ドラマ24を無理やりずーーっと見させられている感じです。一刻も早く震災前の平凡な日常に戻る事を願います。

tottiriさん

ここにも特攻隊員がいる!すさまじい実況中継でほんとに24を見てるみたいです。でも原発から20-30km以外なら大気中の有害な放射能は心配ないし、栃木に食料汚染も見つかったけど出荷はしていないと理解していました。そんなに心配があるんでしょうか。確かにこのさ中に福島方面に出張に行くというのは、交通機関が完全でないことを考えると不安はつきないでしょうけど。

どれほどの緊急性のある出張なのかわかりませんが、この非常事態に福島に向かって200Kkmの出張というのはやはりリスクが高いですよね。今は電話会議、ビデオ会議、ウェブ会議とリモートで仕事ができる技術が普通にあるので、ネットインフラの整った日本なら遠隔ビジネスや自宅勤務をもっと取り入れてもいいと思います。社員を安全に仕事をさせ、かつ非常時に仕事が滞らないようにするのは企業に課せられた重要なリスク管理だと思います。

会社の命令だからといって死ぬかもしれないのに出かけていくというのは、日本以外の国の人にはおそらく理解できないでしょうから、記事で紹介した「会社への忠誠心」などという理由をつけないとこっちの人はきっと納得しないのでしょう。私は「忠誠心だけじゃなくて、日本は一度非国民的なレッテルがつくと後のキャリアにもずっとついて回るし、転職すること自体簡単じゃないんだよ~」と一人ツッコミを入れてました。

余震もまだあって、急激な環境の変化と将来の不安で精神的に参ってしまいそうですが、どうか日々の暮らしの中に安らげる時間を設けて、そして明るさと笑いを忘れずにこの危機を乗り越えてください。私に何もできることはありませんが、日本の皆さんがこの危機を乗り越えられるよう、オーストラリアからお祈りしています。

返信ありがとうございます(^^)
本日は現地での機器設定なので直接行かねばなりませんでしたが、無事?帰宅できました。相手は目に見えない放射性物質なので、無事なのか判断できませんけれど。
栃木県で震度4の地震が立て続けに2回ありましたが東北新幹線は10分も止まりません。今の新幹線は色んな意味で、恐らく世界一でしょうね。

今日の仕事、緊急性は皆無なのですが、今の時期行きたくないと言う事がリスクとして捉えてもらえないし、現地のお客さんに言い訳が立たないという理由でリスケできませんでした。
栃木やその近郊に住んでおられる方には大変失礼なのは重々承知していますが、神奈川に住んでいる自分としては、帰宅できなくなる怖さもあって気分がのらない事をご理解ください。
もう一つ、近づきたくない理由は放射線量は問題なくても、放射性物質の体内取り込みが怖い為です。放射性物質の拡散状況について、正確には誰も把握していないのが現実です。
米国などは半径80キロ以内が退避エリアにしていますが、既に横須賀の空母がメンテナンス作業を中止して出ていってしまい、一時はトモダチ作戦と言って勇気を与えてくれていた宮城沖の空母もどっかに逃げてしまいました。宮城沖の空母に関しては国内報道は無く、中国のニュースサイトにひっそり報道されていたので信憑性は定かではありません。既にアメリカや欧州に放射能が届いています。その源から2,300キロ離れた程度で、本当に長期に亘って健康に影響無いのか心配です。
信憑性が怪しいのも含みながら色々な情報を集めますが、判断基準にする為の情報が足りません。
政府からの真摯な情報提供が足りず、個人も企業も判断できないのです。

ニュースを見ないで生活しているとあまり恐怖を感じなくなって、日常生活に戻るのですが、ずーっとニュースを見たりネットで情報を集めていると政府発表情報の信憑性が揺らぎ疑心暗鬼になって怖くてたまらなくなったりと、その繰り返しです。
今日は東京の水道が危険と報道され、近所のスーパーに戻りつつあったミネラル水が一気に無くなり入手不可になりました。私は報道される前から雨の危険性をネットで調べていたので驚きはありませんでした。水の買い溜め忘れてましたが・・・・。この件も政府の情報操作なのか単純に無策で後手後手なのか分かりません。
因みに私の予想だと農作物と水を別々に小出しに警告しておいて、徐々に勧告レベルに引き上げて行くと思っていました。徐々に国民を慣らしてパニックを防止するためだと思いますが、その間に摂取した人は堪った物ではありません。海外サイトでは随分前に危険性を指摘していましたが、国内報道では触れていませんでした。

色々ありますが時間の経過と共にいつもの日常に戻っても、ちょっとした事で直ぐ窮地に立たされます。
死ぬかもしれない状況が事実なのか、大したことじゃない状況が事実なのか分からないのが問題です。
歴史上何度も繰り返されているように、後世になって真実が暴露され、後日、今の自分の選択を物凄く後悔する事になる可能性が存在する。という事は事実です。
生死を分ける人生の選択に24時間さらされている事が判断基準を麻痺させます。
東北の方々の現状を見ると本当に心が痛むのですが、まだ震災が終わった訳ではなく、リアルタイムで進行しており、自分や自分の家族の命がかかっているので、私に関しては震災後の復興ムードになりません。

計画停電で真っ暗な中、水道水の信憑性を疑いながら顔を洗い、放射性濃度気にしながら外に出て、節電の為エスカレーターが停止されているのを横目に薄暗い階段を上って、本数の減った電車に揺られ会社に行き、蛍光灯を間引きされた暗いオフィスにつき、時折余震で揺れ「地震君大きくなるなよー」っと心の中で祈りながらパソコンに向かう毎日です。
結局仕事しないと、失業して収入が無くなるので仕事する感じです。震災で企業活動ストップし、景気後退リスクが高まっているので転職も難しくなると予想してます。既に新卒の内定取り消しが始まっています。

ぜーーんぶ忘れてYahoo7のReal estateでプール付きの住宅を検索しながら「将来住むぞー!!って。。
住宅ローンの金利がものすっごい高い!・・これも人生左右するほどリスク高いなぁ・・・払いきれなそう」
などと、考える事が唯一の楽しみです♪
あ。。また地震で揺れた。。私的体内地震計によると震度2!!
またしても長文失礼しました(^^;
プロフィール

divayoshiko

Author:divayoshiko
よりよい生活と仕事環境を求めて、日本の会社を辞めてオーストラリアに移住しました。IT技術者として生活を確立するまでの様子、日々の生活や仕事のこと、現地情報、オーストラリアや日本について感じることなどをつづっています。メルボルン在住。
Twitter @divayoshiko

これまでの歩み
2009年
4月  技術独立ビザで永住権取得
2010年
1月  東京からブリスベンに移住
2月  シドニーに移住
4月  ブリスベンに移住
5-6月 メルボルンに長期出張
2014年
2月  メルボルンに移住

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