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患者主体の医療

移住してきて一年が経ったので、健康診断に行ってみました。日本にいるときは会社で年一回健康診断をやってくれていました。決められた時間に決められた場所に行き、各種検査場を決められた順番に回って、まるで工場のベルトコンベヤに載せられてる商品のように効率よく次から次へ検査をこなし、あれよあれよという間に終了です。でもここではそんな便利なものはないので、自分で医者に行かなくてはなりません。

日本では医者にかかるときは初めから診療科を選んで行きますが、オーストラリアで医者にかかるときはまずGPと呼ばれる一般開業医に診てもらい、専門的な診療が必要とされた場合には紹介状を書いてもらって各専門医のところに行きます。かかりつけ医が決まっていて過去の履歴を全部取ってあるので、医師は患者の治療履歴を見ながら総合的に判断することができます。私のGPは10分のコンサルテーションでいくら、20分でいくらという風に、時間で先生の時間を買っている感覚で、予約するときも「○○先生のコンサルテーション10分お願いします。」という風に予約します。そして決められた時間内にいかに上手に「医者を使う」かが重要。ベルトコンベヤではだめなのです。

診療項目は、先生に過去の経緯や心配事を相談しながら決めていきました。何も訊かないと向こうからは積極的に訊いてくれないので、こちらから畳みかけるように質問して主導権を握ります。こちらがどんどん質問すれば向こうもどんどん答えてくれます。とはいってもこれを全部英語でやるので大変。医者に会う前夜はいつも英語辞書と首っ引きで試験前夜みたいに準備します。でもいくら準備しても単語をド忘れしちゃう。「うーん、あーん」と困ったあげく持ってきたメモを見るか、先生が「xyzね」と助け舟をだしてくれます。でもそのxyzの意味がわからないんですけど・・・。

その場で済む簡単な検査はGPの先生が済ませてくれましたが、特別な検査器具や専門的な検査が必要な場合は、改めて予約をして専門医のところに行かなければなりません。こうして複数の検査をやっている間に時間はあっという間に経ち、結局全部終わるのに一カ月ほどかかってしまいました。

日本ではカルテや検査結果は医者が保管することになっていて患者がアクセスするのは難しいですが、オーストラリアではリスエストすればくれることが多いです。紹介状は封をしてある場合もありますが、自分で見ることもできるので、どんな診断がされているのかわかります。ある日超音波検査をした後、日本じゃ見ないような巨大フィルムを渡されて持って帰れと言われた日には目が点でした。確かにこれは私の物なんだけど、これから職場に戻るっていうのにこんなもの持ってけっていうんですか・・・。ハイ、コソコソと隠すように持って帰りました。ってとても隠しきれない大きさだったけど。

日本との大きな違いは、医者が主体か患者が主体かだと思います。紹介状を書いてもらってある専門医を訪ねたとき、その先生からいきなり「それであなたは私に何をしてほしいの?」と訊かれて仰天してしまいました。な、何って、検査結果をみてGPの先生が専門医のあなたに見てもらってください言われて来たんですけどぉ?、詳細は紹介状に書いてあるはずなんですけどぉ?・・・そうか、この人はクライアントである患者からリクエストがあって初めて動く人なんですね。黙って座っていればなんでもやってくれる日本式に慣れた人はここのところをちゃんと理解しないと、オーストラリアの医者はみんなヤブ医者ってことになってしまいそうです。考えてみれば患者は皆ひとりひとり違うから、その人に合った治療をするには、その人の希望や意思や判断がなければアドバイスしようがないのは当然といえば当然かもしれません。

医療にかかわらず、お金を払って黙って座っていれば誰かが気をきかせて何でもやってくれるというのはこの国にはありません。決めるのはあくまでも自分、そのために必要な情報はどんどんくれるし、なければ自分から求めます。そして判断に責任を持つのも自分。個人が主体の社会にいると、自分が主人公の人生を生きていることを強く意識させられます。

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テーマ : オーストラリア
ジャンル : 海外情報

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確かに日本の健康診断はある意味便利ですが、まさしく大量生産される製品のごとく、受診するメニュをこなしていくという感じですよね。表現が悪いですが、ブロイラーみたいな感じで、前の会社にいる時、心電図などの際、まるでモノのように扱われている感じがして、非常にいやな思いをしたことがありますが、そういう意味では、日本の医療の現場ってまだまだ遅れている感じがします。

Nuggetさん

日本では黙っていても最低限のサービスを皆同じように安く便利に提供できるというのは、やっぱりすごいと思います。アメリカではそれがいやだという人もいますけど。でも日本にいるとき、どうして自分でお金を払って得た自分に関する情報やレントゲン写真を自分で管理できないんだろうといつも不思議に思っていました。日本はあまり考えずに面倒をみてもらいたい人には便利ですけど、自分用にカスタマイズされた独自のサービスを自分の意思で受けたい人には不便かもしれません。でもこちらのシステムは自分でコントロールする分めんどくさいです。良し悪しですね。


プロフィール

divayoshiko

Author:divayoshiko
よりよい生活と仕事環境を求めて、日本の会社を辞めてオーストラリアに移住しました。IT技術者として生活を確立するまでの様子、日々の生活や仕事のこと、現地情報、オーストラリアや日本について感じることなどをつづっています。メルボルン在住。
Twitter @divayoshiko

これまでの歩み
2009年
4月  技術独立ビザで永住権取得
2010年
1月  東京からブリスベンに移住
2月  シドニーに移住
4月  ブリスベンに移住
5-6月 メルボルンに長期出張
2014年
2月  メルボルンに移住

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