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日本のシステム業界はやっぱりガラパゴス

日本のシステム業界は世界に大きく後れを取っているというのは以前から認識していましたが、日本の外で働くようになって、想像よりはるかに世界標準とかけ離れているということに大きな衝撃を受けています。日本の外資系企業で働いていたときは北米、オーストラリア、アジア、ヨーロッパの社員と一緒に仕事をする機会がありましたが、どの国の社員と話をしていても話がかみ合いませんでした。「こりゃあ合わないわけだわ・・・」というのが正直な感想です。

日本は新しい技術や手法を取り入れるのが遅いです。新しいやり方が出てきた当初はワッと話題になるけれど、騒ぎがおさまるとそれで終わり。実際にそれを取り入れるのはとても慎重です。新しいやり方で成功する可能性よりも失敗する可能性を恐れ、自分が率先してやってみる前に前例を求めます。新しい手法はたいてい海外から来るのですが、海外の事例はダメで、日本の事例があることが重要です。だから日本のどこかの会社がやるとみんな右にならえになってしまいます。

一つの例がソフトウェア開発手法。日本ではいまだに昔ながらのウォーターフォールモデルが主流です。時間とコストがかかり、変更がしづらい方法です。世界では柔軟性があり時間とコストが削減できるスパイラルモデルがどんどん取り入れられており、オーストラリアでもその流れをくむアジャイル開発が多くの会社で採用されています。私のクライアントの会社ではCIOのトップダウンですべての社内プロジェクトでアジャイルが採用されているし、他のクライアントもアジャイルを採用しているところは多いです。私の雇用者のコンサルティング会社でも、社員同士が集まるとアジャイル用語が飛び交い、もはやアジャイルは常識。日本では部分的に小規模で採用している会社もあるようですが、大規模運用や全社採用なんてまだまだ先の話です。

それとなんといっても人材に対する考え方がまったく違います。日本では人月に対してコストがチャージされ、エンジニアやコンサルタントが生み出す価値に対する評価は二の次になっています。エンジニアというのは何でも屋であり、大勢いる働き蜂の中の一匹にすぎないのです。こちらではエンジニアは専門職で、特定分野のプロフェッショナルであることが評価され、「労働力」でなく「どんな価値を生み出すか」が重要です。日本以外の国々では企業向けシステムの世界に「ビジネスアナリスト」という職種の人がたくさんいます。ビジネスとテクノロジーの間を取り持つ重要な役割の職種で、彼らなしにはシステム開発は成り立ちません。日本ではそういう職種はないし、その言葉さえありません。重要な役割の専門家がいないというのは驚くべきことです。

なぜこんなにも世界の常識とかけ離れているのか?一つの大きな理由は日本独特の業界慣行でしょう。特定の大手ベンダーが受注し、下請け、孫請けに投げるという硬直的な業界構造があり、スピーディで柔軟な対応を妨げています。注文する企業は大手ベンダーに丸投げで、イニシアティブを取ることができません。ベンダーは特に下請けになればなるほど、休日返上、不眠不休で言われたことをやり、無理がきく会社が重宝されます。外資系ベンダーもガチガチのピラミッド構造の業界では苦戦を強いられます。

もう一つはグローバルな視野がないこと。日本のベンダーはグローバルマーケットが視野に入っておらず、ほとんど海外進出していません。働いている人も、自分たちの競争相手は賃金が安くて優秀なインド人や中国人なんだという意識はないし、海外で働く可能性を考える人もほとんどいません。この世界では英語が世界標準になっているというのに、マニュアルが英語だといちいち文句をいうのは日本のエンジニアぐらいです。システム業界は国際的にも人材の流動性が高い業界で、就職や短期のプロジェクトのために海外で働くのはよくあること。でも世界の人材は英語が通じない日本を素通りしてしまいます。世界に行かないし世界からも来ない。そのため新しい技術や経験が入って来ないという負のスパイラルに陥り、世界の孤島ガラパゴスになってしまうのです。

もうひとつは日本のエンジニアの待遇の悪さです。3K職場ではプロフェッショナルとして扱われず、深夜も休日返上も当たり前。休暇も取りにくく、滅私奉公で働いて体を壊したり鬱になったりする人も多いです。待遇も実力でなく、年功序列や正社員か派遣かなどというまったく根拠のないところで決まってしまったりします。私は外資系会社の社員だったのでまだましな方だったけど、多くの日本の会社では転職しようにも大変でキャリア開発もまともにできない。世界の国ではまともな労働環境と待遇が用意されているというのに、どこの国でも働けるプロフェッショナルがわざわざ日本を選ぶ理由はありません。

これらの問題は構造上の問題が大きいので、変えるのは至難の業でしょう。働く人自身の意識の問題もありますが、ベンダーやユーザ企業の経営者にシステムを開発・導入する価値に対する正しい認識がないのと、良いものを積極的に取り入れ、新しいことにチャレンジして自分たちの会社を変えて行こうという姿勢が足りないのが大きな問題だと思います。果たして日本のこの業界は変われるのでしょうか、それとも世界に取り残されて没落に向かうのでしょうか。


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テーマ : オーストラリア
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Divayoshiko さんがご指摘されていることは、他の国内外の日本人の方々からも指摘されています。またそれはシステム開発だけに限った話ではなく、製品開発などイノベーションが伴うものについて多くみられます。
最近感じているのですが、結局「リスク=失敗すること」を怖がっているようです。ですから、安全運転という名のもとに、これまで自分たちがやってきたことをそのまま繰り返しています。これでは革新的なシステムや製品は生まれてきません。
リスクを取ること、そしてそれを後押しするリーダーが必要なのかなと思っています。若干ではありますが、そういう会社も日本にはあるのですが、まだまだMinorityですね。

Nuggetさん

確かに最近日本が全般的に保守的になっているように思います。何をするのでもある程度リスクを取らないとなかなか先には進みませんよね。多少失敗してもリスクを取って行動した人を称賛するような社会の空気があればイノベーションがもっと起こりやすいと思うのですが。


プロフィール

divayoshiko

Author:divayoshiko
よりよい生活と仕事環境を求めて、日本の会社を辞めてオーストラリアに移住しました。IT技術者として生活を確立するまでの様子、日々の生活や仕事のこと、現地情報、オーストラリアや日本について感じることなどをつづっています。メルボルン在住。
Twitter @divayoshiko

これまでの歩み
2009年
4月  技術独立ビザで永住権取得
2010年
1月  東京からブリスベンに移住
2月  シドニーに移住
4月  ブリスベンに移住
5-6月 メルボルンに長期出張
2014年
2月  メルボルンに移住

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